雨上がりのジャングルは昨夜の寒さが嘘のように蒸し暑つかった。 粘土質の地層は水を吸い込みぐちゃぐちゃとしている。 |
所々にはまだ水溜まりが残っていた。 |
しかし。 |
しかし。ここでのんびりはしていられない。 |
しかもこの時期は滅多に人も入らない為。 獣道のような心細い道が延々と続くのだ。 ロープづたいに川を渡ったり。 |
倒木の橋を渡ったり。 |
生い茂る草木がゆくてを阻もうとしてきたり。 |
第二山小屋跡地の少し手前だったと思う。 "秘境入口"と看板でもぶら下がっていそうな岩の門を通った直後だった。 |
川幅1㍍位だっただろうか。 それでも。 |
見たところ。 位はすねあるかないかの。 ぎりぎりのラインだった。 昨日の雨で増水していると思っていたので。 これは嬉しい誤算でもあった。 マヤグスクまで行ける! と。 二人で杖になる棒を探し。 川の一番浅い部分を慎重に慎重に進んで行った。 |
無事にイタチキ川の右岸に渡った自分達は。 この後川沿いに進みマヤグスクの滝を目指す事になる。 |
川が浅ければそのまま進み。 深い場合は岸にあがり、時に崖っぷちを歩き上流へ向かって行く。 |
何度も何度もヒヤヒヤするような場所を歩き続け。 精神的にも。 そしてリミットの時間的にもギリギリの時だった。 木々の隙間から。 滝の轟音と共に白い壁のようなものが見えて来た。 さっきまで慎重に慎重に歩いていたのにも関わらず。 そんな事さえ忘れて早歩きになってしまう自分。 そして。 昨日船着き場に下りてから実に24時間が経とうとしていた時だった。 ついに。 ついにマヤグスクの滝が眼前に姿を現したのだ。 |
渡川ギリギリだった水量は。 山猫の城をより強固に。 そして秀麗に見せてくれていた。 城からは水飛沫が雨のように降り注ぎ。 それはまるで。 人を寄せ付けないオーラのようだった。 |
ゆっくりとこの滝を眺めながら昼食でまも取りたかったが。 ぬかるんだ道と滑り易い岩肌。 道を遮る倒木などで。 朝出発してからすでに3時間が経過していた。 昨日の内に移動した分も合わせれば。 ストレートで行って帰りは3時間半はかかる計算だ。 出来るだけ長く滝を眺めていたかった二人だが。 帰りの船に間に合うように帰路を目指し再び歩き出したのだった。 続く~ |