第百参十六話  “ 波長 ” 09-24

朝。
肌寒さで目が覚めた。

着ていた浴衣は見るも無残にはだけ。  腰には帯だけが巻き付いていた。
それはいい。

身支度を済ませ。  宿のおじちゃんおばちゃんにお礼をいい出発。
昨日からの強風は止む所か強さを増している気がする。

海はまとまりのない波が至る所で割れている。



○○海岸とか地名が出ている場所では足を止めリサーチするも。
どこもインサイドの岩が気になり入る気になれない。

そもそも。  能登半島の情報は皆無である。
富山のなべさんに聞いたPまでは無理しないでおこう。
と、いつに無く弱気である。

礼文島でのトラウマがまだ尾を引いているようだ(笑)
それに。
波のある場所(サーフィンP)にはサーファーさんの姿あり!
が、これまでで学んだ事でもある。

波があるのにサーファーさんがいないのには。  何か理由があると言うことだ。

海をジャンクにしているこの風も。  今日は自分の味方だ♪
ぐんぐん背中を押してくれ、まるで電動アシストサイクルのようだ♪

海沿いは波を探し。
峠道の山間部に入ればトトロ的風景を探す。



あっ。
トトロ的風景とは。  まるで。  となりのトトロの舞台になったんじゃないか?
的な日本の原風景である。

なにげに。  旅をしている間。  ずっと探しているが。
こっこれだ!!
と、鳥肌ゾクゾクの場所にはまだ出会えていない。

しかし能登はかなり雰囲気があった。



いつかどこかで。
トトロ的風景に出会えた時はこの日記に記そうと思う。

さて。
お昼を過ぎた頃。  なべさんに聞いていたMポイントにたどり着いた。
が…。
背中を押してくれていた風は北東の風。
山を越え辿り着いた外浦は。  基本、西向。
猛烈なサイドオフだ。

時折。  入るセットを見ながら。
あっ!あそこかな?  いやいや。  あっちかな?
と。
微妙にどのブレイクかわからず…
出来ない事はないコンディションなのに誰一人サーファーさんがいない。

ほほぅ♪  きっとこれはもっと先にいい場所があって。
みんなそこにいるんだな♪  と、良からぬ解釈をし始め。

先へ進もう。
そんな結論に至り走り出した。

しかし。  その先はかなり素敵な峠道で。  辛くはないが思うように進めない。
結局。
中途半端な時間に次の街に着いてしまった。

さて、どうしようか。
ぐぅ。
とりあえず。  お腹の何かが騒いでいるので。  コンビニでパンを買い。
むしゃむしゃと。
そして地図を見ながら一人作戦会議。

このすぐ先の道の駅で早めに留まるか。
それとも。  もう一つ先の道の駅まで進むべきか。
時間は午後3時過ぎだ。  日没まで後2時間ちょっと。
ふぅ。
結局、今日はサーフィンできなかったなぁ…。
と。
波を見ながら走っていただけに少し残念だ。

とりあえず。  近くの道の駅まで行って、それから決めよう。
と、
走り出し。  道の駅の駐車場に入ろうとした時だった!

『あぁ!本当に会えた♪』と、目の前に停まった車から男の人が現れた。



なにわのタコ焼きマン(仮名)さんだ(笑)

北海道ですごくお世話になったYさんから少しだけ話は聞いていた。
もしかしたら、なにわのタコ焼きマン(仮名)に会うかもよ(笑)と。

そして今。  なんとも絶妙なタイミングでお会いする事が出来た。
能登半島のポイントを熟知している、なにタコマンさん(略・仮名)に。
Mポイントの事を聞いて見た。
どうやら自分がここかなぁ?と思っていたブレイクで間違いないらしい。

そして。
これからそこに向かう途中だったようで。
『行く?』となにタコさん(更略・仮名)。
『はい!』となった。

自分の中の勝手なルールだが。
ルートの先にあるサーフポイントへピックアップしてもらうのはNG。
でも。
走って来た道中のポイントへ連れて行ってもらうのはOK。
もちろん。
色んな条件が重ならないと無理だが。
今日はOK!

すぐになにタコさん(更略・仮名)の車に板を積み込み、Mポイントへ引き返す。
車って…早い。

あっという間に到着すると。
夕方で、多少風が弱まったからなのか。



セットを捉えれば十分波乗り出来そうだ♪
自分は着替えの早さにはだけは自信があったがなにタコさん(更略・仮名)もかなりのものだ。



誰もいない海にパドルする。

そうそう。  この辺りは。  何か理由があってサーファーさんがいないのでは無く。
普段からほとんど貸し切りらしい…。

さっきは深読みし過ぎたようで。
無い頭をひねれば結果はこんなものだ…。

実際海に入って見ると。  見た目よりいい感じだ。
それも、一人で心細くないと言う安心感からだろう。
二人で交互に波に乗り。  手付かずの自然の中。  夕焼けを見ながらの波乗り。

改めて思う。
波と出会うには人との出会いが大切で。
"いい波"に出会うかどうかは人との出会いが重要で。
人との出会いが"いい波"を与えてくれ、どんな波も"いい波"にしてくれる。

そして波が人との出会いを与えてくれる。



波長。
最初の頃は出会いの不思議に驚く毎日だった。

こんな偶然って…。
と。
しかし。
これは偶然ではないと。  いつしか思うようになった。
必然なんてカッコイイ言葉かはわからないが。
お互いの持つ波長が引き寄せ合うのだろうと思う。
その波長は同じだから引き寄せ合うのでは無く。
互いの波長が調和出来るから引き寄せ、出会いに繋がるのだと思う。

身の回りに、人為的な嫌な事が起きている時は。
もしかしたら。
それは自分がそういう波長になってしまっているからなかもしれない。
自分の波長に合わず不協和音となる人には出会わない。
とさえ思う。

この旅ももう終盤だ。
この後。  この旅の締めくくりまでの間。  どれだけ"いい波"に出会えるかは。
全て自分の。  

全て自分の心の在り方次第だ。

と。
そんな事を改めて思いながら。  今日の日記を書き終える事にします。

ではまた!

*なにわのタコ焼きマン(仮名)さん!なぜかまたお会いする気がしますが!
今日はありがとうございました!楽しかったです!