第百五十三話  “ YAMATO-DAMASHII ” 10-13

昨夜は。
暗くなった頃に到着したKENGO君と一緒だった。



普段。  くだらない話しばかりしているが。
昨日は。
ちょっと真面目と言うか。  少しまともな話しをした。
それも旅の終わりの気配を感じたからだろうか。

朝。
夜、星がキラキラしていた分だけ。  肌寒い。
また普段通り。
くだらない話しをしながら。  それぞれ出発した。

次の街。  萩市に到着。
普段あまり観光はしないが。  ちょっと気になる場所がある。
波もなさそうなので。  今日は少し寄り道しようと思う。

萩の城下街に着くと。
大阪のチャリダーY君を発見。
観光で賑わう城下街を二人で走る。



その後。
今日はトラックや行き交う車を気にしながら。  国道を走る気にはならなかったので。
地元の方に道を聞きながら。  海沿いの道を進む事に。



ドキドキする位ワイルドな道。



でも景色は最高♪



日本海は本当に綺麗だ。
今まで。  実際見た事もないのに。
日本海のイメージは。  なんとな~く薄暗い感じだった。
が。
日本海は水も澄み渡り。
白い砂浜に松が生い茂る。



絵画のような風景が、至る所にある。
百聞は一見にしかずだ。

ところで。  
自分が今日。  本当に立ち寄りたかったのは。  萩の城下街ではない。
実はその前に。  と、ある場所へ行っていた。

幕末維新胎動の地

立ち寄った松陰神社の石碑にそう書かれていた。
松下村塾。





幕末維新の原動力が産声をあげた場所。
吉田松陰の銅像。
萩の街を見下ろす丘の上に立っていた。



海を見据えたその目には。
今、何が映っているのだろうか。



昔。  幼なじみから進められた一冊の本。
司馬遼太郎さんの竜馬がゆく。

あの本を読んだ時。  自分もこう在りたい。  と思った。
そして。
(諸説あるとはおもいますが。)
自分が龍馬さんと誕生日が同じと知った時。  なんだかすごく嬉しかった。

この人のように成りたい!
それは別に。  世の中を変えるとか。  歴史に名を残す人になるとかではない。
男として生まれたからには。  何かを成し遂げたい。
そんな漠然たる思いだ。

龍馬さんは。  あの時代にして。  日本全体を見ていた。  ひとつの国として。  

もしかしたら。  これから書くことは。  問題発言かもしれない。
でも。
そんな風に感じた自分の気持ちに素直になろうと思う。

サーフィンには。  ローカルさんとビジターさんの問題が必ずある。
が。
この国で。  同じ趣味を持つ者同士。
皆、日本と言う国のローカルではないだろうか。

なぜ。
同じ仲間同士がいがみ合うのか。

すべての人が。  日本のサーフポイントを愛し。
日本と言う国全体でサーフィンの文化を育めば。
今あるたくさんの問題は解決されるのではないだろうか。

そしてその力がひとつの方向に向けば。
たくさんの環境問題も…。
なんて…
生意気言ってすみません…。

銅像のほとりにひっそりと。
しかしながら厳かに佇んでいたお墓。



吉田松陰  高杉晋作  久坂玄瑞
今の自分と同じ世代の人達が。  我が身を投げうって世の中を変えようとしていた時代。
なんだか、その墓前にたった時に。
ふと。
そんなことが頭に過ぎったりしたもので…

これは吉田松陰辞世の句。

“身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし  大和魂”

日本のローカルとして。
いや。
地球のローカルサーファーとして。
自分にも。  小さな事でも。  何か出来る事がきっと。  
きっとある。
たくさんのものを与えてくれるサーフィンに出来る恩返しが。

そう思った。

*ローカリズムやビジター問題を否定するものでも肯定するものでもありませんので、その点をご理解頂ければと思います。

ではまた!