第百五十話  “ サーファーデアルマエニ ” 10-10

今日は宿を探すと言っていたKENGO君と別れ。
自分は道の駅へ。

ここまで何度も再会を繰り返して来たから。  別れ際に特別な言葉はかけない。
そんな事をしたら。  もう会えなくなる気がしてしまう。

ところで。
道の駅にもいろいろある。
おぉぉ♪  と、快適な野宿が約束される道の駅と。
あぁぁ…  と、切なくなるような道の駅がある。

切なくなる理由は軒下の有無。
やはり野宿は。  いかに風雨を凌げるかにかかっている。

昨日の道の駅は。  あぁぁぁぁ…。  だった。

感覚的には。
日が沈むと風が弱まる気がするが。  昨日は日没と共に風が強まった。
空を見上げると。  星が瞬いている。
雨の心配はなさそうだ。
と、ひと安心。

も、つかの間。  ザァァ♪っと雨が。
まぁそんな日もある。



簡易テントと自転車達にテントのフライシートをかけ就寝。

朝5時起床。
重たい雲がかかっているが晴れ間もある。
しかし。  そんな事より。  昨日から吹いている北風が。
海にどんな影響をもたらしているかが一番の感心事だ♪

せっせと片付けをしていると。
一人のサーファーさんが声をかけて下さった。

年の半分はスペインで暮らし。  残りは日本で。
フランスの波はいいよ~♪と言っていた。

陸続きのヨーロッパ。
時には国境を越えてサーフィンしに行くらしい。
今はEUの統合でチェックポイントなしで国を行き来できるらしい。

そのサーファーさんが。
先に進んでポイントを探そうとしている自分に。
このすぐ近くにもポイントがあるよ♪   と、教えて下さった。

*お名前も聞けませんでしたがありがとうございました!

となれば。  行くしかない。
国道から海へ向かう。
最初に突き当たった海。  オンショアビュービューだが。  昨日の湖のような状況から一変。
波が割れている。

そこでしばらく海を眺めていると。  ローカルさんが声をかけて下さった♪
この先にあるHポイントに行くと言うので。
詳しく場所を教えて頂き。  自分も行ってみる事にした。

30分程でポイントに到着すると。  先程のローカルさんがいた。
ジャンクながら時折MAX胸近い波が割れている。



そのローカルさんも入るかどうか少し悩んでいる様子だったので。
自分も様子をみる事にした。

『とりあえずちょっと入って来るよ!』と言うので。
さらに様子を伺う事に。

セットが入ると短い周期で波が来て。  ゲットが大変そうだ。
が。
難しいコンディションの中。
これしかない!と言う波を上手に乗っている。
それを目の当たりにした自分は。  すでに着替え始めていた。
運よくセットに捕まらず。  ローカルさんの元へ。

『おじゃましま~す♪』と言うと。
『まぁ今日はこんなコンディションだけど楽しんでってね♪』と。
その言葉が妙に嬉しかった。

それからしばらく。  一緒に波乗りをさせて頂いた♪
自分が海から上がると。  ローカルさんも上がって来た。

しばらく、あれこれ話していると。
ローカルさんのお友達のローカルさんが現れた。



右が最初に声をかけて下さったTさん。
左がHard Reef Surf Boardと言うショップのオーナーシェイパーのMさん。

Hard Reef?と、思った方もいるのではないだろうか。
実はMさん。  以前、沖縄に住んでいて。
沖縄の砂辺にあるHard Reefさんにお世話になっていたらしい。

*Tさん!Mさん!ありがとうございました♪楽しかったです!

と、ここで話しは終わるかと思われた。
お二人と別れ。  国道9号線に出て。  しばらく走っていると。
反対車線に車を停めたMさんの姿が。
『時間ある?飯でも行こうよ!』と。

どうやら。  Hポイントで別れた後。  ずっと探して下さっていたようだ。
断る理由は何もなかったので。  喜んで誘いを受けた。

少し戻り。  Mさんのショップへ伺った。





そして。
ここでMさんの波乗りに対する熱い思いを聞き。



今日ここで。  こうして出会えた事は。  やはり偶然ではなかったと。
そう思った。

『サーファーで在る前に、人間であれ』
その言葉にすべてが集約されている気がした。
そしてこんな事も言っていた。
『俺が沖縄で受けた親切の恩返しだ』と。

やはり。  善意は巡り。  人と人は繋がっている。
必然と言う言葉はなんだか大き過ぎるので使わないが。
この出会いもまた。  偶然ではない。
と、そう思った。

『引き寄せたんか引き寄せられたんかはわからんがなぁ~』と。
Mさんも自分との出会いに何かを感じてくれていた。
そのMさんが。
どうしても会って行って欲しい人がいると言う。

Mさんの車に乗り込み一山越え。
長閑な山間の場所に来た。
『ここ!』と言って着いた場所は。

お寺の中にカフェがあり。




それが不思議な程に馴染んでいる場所だった。


Nさん。
この土地で。  数十年前に始めてサーフィンをした方だ。
お寺の住職さんであり。  サーファーさんであり。  カフェも営んでいる。

少し話しをして。
MさんがNさんを紹介して下さった意味がわかる気がした。
サーフィンに対する心の在り方。
その点で考え方が同じだった。
だから今。
こうして三人で楽しい時間を過ごせているんだと理解も出来た。

ここまでの旅で自分が感じそして自分なりに気付いたサーフィンに対する心の在り方。
以前にも書いたが。
~剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である~
剣道の理念はサーフィンも通じる気がする。

『サーファーで在る前に人間であれ』
その言葉に相通じる何かを感じた今日だった。

ではまた!

*Mさん!Nさん!有意義か時間を一緒に過ごせてよかったです!
いろいろありがとうございました!