稚内に向かう途中に、サロベツ原野と言う場所がある。 その原野に約70㌔に及ぶ何もない道がある。 70㌔と言えば自分のペースで丸一日かかる計算だ。 無補給地帯。 バイクや車なら問題ない。 ただ自転車や歩きの旅人には悩ましい道のりだ。 しかも。 晴れていればさぞ気持ちの良い道だろうに。 今日は天候が良くないというより荒れる予報だ。 今朝出発して、一つめの街。 TESHIOで一休みしていると。 旅人が。 『これから天気が崩れるから、今日はもうこの辺りにしておきなよ!途中何もないし絶対無理だから進まない方がいいよ!』と、忠告された。 その時点で、出発して15㌔。 そこで留まるか、先へ進むか。 しばらく悩んだ。 が。 その旅人の言う『絶対無理』と言う言葉が。 自分からこの場に留まると言う選択肢を奪い去った。 確かに自分のペースからすればこの先の106号線をWAKKANAIまで進むのは厳しい。 そしてWAKKANAIまで行かなければこの道沿いには何もない。 ひたすら地図とにらめっこだ。 やや内陸に湖畔のキャンプ場を発見。 日没までの時間を逆算し、そこまでの距離を計る。 計算では日没迄には辿り着ける。 一か八かの賭けに出た。 辿りつかなければアウトだが…。 非常用の水や食料を買い込み街を出た。 暗雲立ち込める原野に並ぶ風車が不気味だ。 ブワンブワンと風を受けプロペラが回っている。 気のせいか、プロペラに勢いがついて来たように思った瞬間。 雨が勢い良く降り始めた。 一瞬で水浸しになり、PAのトイレにある風除室に逃げ込んだ。 時間は限られているのにも関わらずいきなり足止めだ。 しかし。 なぜあの時、街に留まらず走り出したのか。 先へ進みたいと、気持ちが焦っていた訳ではない。 悪天候になることは自分も最初からわかっていた。 別に自然を軽んじていた訳でもないし。 むしろその力強さを今迄も肌で感じて来た。 ただ。 あの時の言葉が自分を前に進ませた。 やはりこんな雨と風の日に。 四国でお会いしたシニアカーでお遍路さんをしていたおじいさんの言葉だ。 『そんなのやってみなけりゃわからんだろう!!』 あの時点で先へ進むと言うことを。 どうしても諦めたくなかった。 ただそれだの理由だった。 逃げ込んだトイレの風除室から横殴りの雨を見て。 ふぅ。 と、ため息が出た。 このまま最悪な場合はここで足止めか…。 そんな事が頭を過ぎる。 一時間位経っただろうか。 雨足が弱まって来た。 ちらっと時計を見る。 ラストチャンスだ。 今出ればまだ間に合う! 確証は無かったが希望はあった。 この悪天候、悪条件の中にも一つだけ。 一つだけ好条件がある。 追い風だ。 風車を勢い良く回し、海をジャンクにさせているこの風がきっと味方してくれる。 そう信じて再びペダルを漕ぎ出した。 途中。 今日の勝利?を確信した瞬間があった。 牧草地帯の真ん中で一人ケラケラ♪ あと四枚集めよう(笑) 今。 目的地のキャンプ場で日記を書いている。 安い料金で小屋も借りれた。 予報では今夜。 大雨になるらしい。 …助かった。 ホッとしながらも。 少し反省した。 もし、たどり着かなかったらと…。 小屋に吹きつける風雨の音を聞くとゾッとする。 無謀と挑戦は違う。 果たして今日の自分はどっちだったのだろうか。 そんな事を考えながら今日の日記を書いてみた。 ENBETSU~TOYOTOMI KABUTONUMA ~今日出会った旅人さん&サーファーさん~ 大阪から日本4/5周中! 石垣島人! 稚内発日本縦断の旅! 稚内のサーファーさん! |