第三十六話 “ 長い長い一日 ” 06-2

AM4:30起床。

朝日が昇りだしている。
今日はいい天気になりそうだ!



荷物を片付けロコポイントの駐車場に行ってみる。
すでにたくさんの車が停まっている。
駐車場をうろうろと進んでいると。
『おっ!来た来た♪』と。
『リアカーの人が来るからって連絡あって!』とBali Highさんだ。

皆さんものすごくいい人だ。
なぜいい人か?
見ればわかる。

笑顔だ。
混じりっけのない笑顔。
実は少し緊張していたがすぐにほぐれる。
挨拶をする。
しばらく質問攻め♪
迎え入れて頂いた感でいっぱいだ。
そうこうしていると。
誰かが言う。

『入らないの?』と。
『入ります!お邪魔させてもらいます♪』と自分。

支度をする。
皆さんはすでに海へ向かっている。
早朝にも関わらず大勢のサーファー。
活気のあるポイント。
堤防よりにBali Highさん達の姿。

近付く。
隅っこで波待ち。
様子を見る。

見る。  見る。

近付くにいるサーファーさんには手当たり次第に挨拶。
Bali Highさん達が声をかけて来てくれる。
和やかそうな空気の中に少しの緊張感が混じる。
絶妙の雰囲気。

しかし。
自分はすでに飲まれていた。
その雰囲気に。
緊張でガチガチする。
もう、どの波に乗っていいやらわからない。

何本かトライし少し乗れた。
でも緊張感はとけない。
むしろ増す。

そうこうしていると。
一人の男性が自分に近付いてくる。
始めてお会いするが、見た瞬間にわかった。

Mさんだ!!
自分の真横に来て。
『良く来たね!』と笑顔で手を差し出してくれる。

海の中で握手する。
その手の力強さ。
朝日がMさんの後ろに位置し、その存在感を更に増長させる。

この光景。
一生忘れない。
まるで映画のワンシーンだった。

そして。
『気遣わんでいいから!楽しんで!』と言ってアウトに向かって行った。
一番奥へ。
場にいい緊張感が走る。
最初に来たセットを掴み波に乗って行くMさん。
どこにも力が入って無く、リラックスしたライディング。

見入ってしまった。
波に乗りアウトに戻る時。
わざわざ遠回りして自分の近くに来て。

『遠慮はいらんよ~』と。
遠慮している訳では無かった。
今ここで、こうして同じフィールドに自分がいる事が信じられず、波に乗るって事を忘れていた。
今この瞬間瞬間を脳裏に刻み込もうと必死だった。

東から上がる朝日。
Mさんを三角形の頂点としたラインナップ。
冗談と笑顔が飛び交う皆さんにとってのいつもの光景。
その片隅でこのロコポイントの歴史の深さを体感していた。

しばらくそんな時間が続いていた時。
『あの辺のが乗れるよ!』とYさんが声をかけてくれる。

目が覚める。
『はい!ありがとうございます!』と、ポイントを少し移動。
すると。
次の瞬間。
波が来た。
誰も乗ろうとしていない。

来た!  来た!

と、緊張しながらもテイクオフ。
レギュラーの波に乗る事が出来た。

ゾクゾクした。
乗れた。  乗れた!

自分にも波が巡って来た事に感謝した。
再び沖に向かうと。
『いきなりいい波来たね~』とYさん。
照れながら『ありがとうございます!』と答える。
もうこれで十分な気分だった。

その後波待ちをしていると。
不思議な雰囲気を持った人が声をかけて来てくれた。
Fさんだ。
『朝飯くった?カレー食べにこない?』と
朝食に誘ってくれた。

Fさん。
ロコステーション内のサーフショップ【BeachGardenSurf】のスタッフさんだった。
『じゃあラスイチで!』
次の波であがろうって意味だ。

すると。
その会話を聞いていたベテランサーファーさんが。
『じゃあ次の波は君に譲ろう♪』と。
粋な計らいだ。
そして『ほら!来た!』と。
慌ててパドルする。
しかし乗れず…
苦笑いの照れ笑い。
そして次の波にのり岸へ
向かう。

岸から挨拶をしようとすると。
さっきのサーファーさんがこっちを見て笑いながら手招きしている。
慌てて戻る。
『ラスイチがあれじゃぁ勿体ない(笑)』と、もう一本乗って行けと言うことだ。
そして次の波も譲って頂き波に乗らせて頂いた。

こうしてラスイチ?の波に乗り一旦ロコポイントを後にする。

こんな温かい雰囲気のポイントは今まで無かった。
始めて来た自分に声をかけてくれ、波を譲ってくれる。
このポイントが育んで来た素敵な文化だ。
日本中のポイントがこのロコポイントのような雰囲気だったら。
そんな事をふと思った。

海から上がる。
『すぐ近くだから♪』とウェットのままFさんの家に向かう。
この人の雰囲気。
一体何だろう。
と考えながら自転車で走る。

目力がハンパない。
べたな表現だが、澄んでいて、吸い込まれそうな感じだ。
それでいて力強い。
ご自宅にお邪魔し、会話をすると理解できた。
この人には一点の曇りも無い。
ただ純粋に波乗りが好きで好きで仕方ないのだ。
ハワイに来たかのような雰囲気の部屋でカレーとサラダとスイカをご馳走になる。

更に。
自分も旅先で色んな方に親切にされたからと。
お米大量&野菜&スイカ(大)半分を頂戴してしまった。
ショップを開けるから先に行くけど、ゆっくりしていって!と言って自分に鍵を預けて行ってしまった。

身支度を整へすぐさま後を追う。
すぐにショップに顔出す。
いた。
感謝しきれない気持ちを込めお礼を言った。

Fさんありがとうございます!
そしてオーナーさん。
ステッカーありがとうございました!

さて。
駐車場へ戻る。
休憩の為に海から上がっていた方に『もう入らんの?』と。
『入ります!』と自分。
こうして2ラウンド目はメインを外した場所で楽しませて頂いた。

海から上がり駐車場へ戻ると。
Mさん始め、Bali High水曜Memberさん達が椅子やテーブルを並べ待っていてくれた。
『早く、早く!みんな君をてぐすね引いて待ってたんだから!早く着替えておいで!』とMさん。
そして輪に加わる。

即ビール♪
そして乾杯♪
BBQが始まった。

すでに緊張は無かった。
皆さんが自分を受け入れてくれている事が嬉しかった。
さらに大御所のマウンテンさんが加わり場の雰囲気が更に明るくなる♪
たくさんご馳走になりたくさん飲んだ♪

楽しかった。   嬉しかった。   ありがたかった。

難しい言葉ではかえって表現出来ない。
純粋に皆さんと同じ楽しい時間を共有出来たこと。
この旅での思い出の宝物がまた一つ増え、心に刻まれた。

そして時間を置いて3ラウンド目突入♪
波に乗れなくてもいい。
海の中でも皆さんとの時間を共有したいと言う気持ちで海に向った。

楽しかった。
すっかり変な緊張感も無くなっていて、何本か波にも乗れた。
ふざけあい冗談をいいながら楽しそうに波乗りをしている皆さんの姿を目に焼き付けた。

皆さんもそろそろ帰路に着く。
お別れだ。
一人また一人と家路に着く皆さんと握手をした。
今朝、海の中でMさんと交わした握手のように力強く。
こうして、密度の濃い充実した長い長い一日が過ぎ去ろうとしていた。

~Bali Highの皆さん。
これしか言えませんが。
本当に本当にありがとうございました。
こうして今日。
ご一緒させて頂いた事に感謝します。~

自転車日本一周サーフィンの旅-DVC00228.jpg

*残りの画像は別でアップします!

~~~~~~~~
そして。
その後の出来事♪

Bali Highさんとの出会いの余韻に浸っていると。
『オッキーの師匠のやなっちさんですか?』と突然声をかけられた。

シーナサーフの頃から話しは聞いていた。
伊良湖中心に活動している、J君とえら呼吸君だ。
こうして今日この場所で出会う事が出来た。
二人とも、ものすごく好青年で心と志しを持っていた。

会えてよかった。
本当に。
彼らのHPを紹介したい。
見ればきっと伝わると。

http://www7b.biglobe.ne.jp/~ir5-rb-j/

夜10時も過ぎた頃。
今日起きた出来事全てを書き残そうと旅日記を書いていると。
『やなっち?』と誰かの声がする。

だっ誰?
と思っていると。
Yさんだった。
こんな遅くにわざわざ戻って来てくださり、プレゼントと言って日差し対策グッズを持って来て下さった。
涙が出そうだった。
ぐっと堪えた。
涙でお礼は言えない。
人の優しさ温かさってなんだろう。
自分に親切にしてくださる方は旅をしたことのあるかたが多い。
旅行ではなく旅。
旅の楽しさ、辛さ、その気持ち、感情を知っているから。
旅先で受けた親切や優しさ。
その時は感謝の気持ちを言葉で伝える事しか出来ない。

だから。
だから自分の日常で旅人を見ると。
その時の。
親切や優しさに触れた時の気持ちを思い出し。
例えその本人でなくとも。
何かしらの形で恩返しをしたいと思うのだろうかと。
ならば。
皆、この気持ちを持っているはずだ。

Life is a Journy
すべての人が旅人だ。
例え形ある旅はしなくても。
それに気付けば。

きっと。

世界は変わる。

きっと。

*更新が遅れました。書きたい事がたくさんありすぎて。最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

画像を文中にいれられずごめんなさいです(>_<)

6月2日の画像です♪