第三十話 “ キラキラと ” 05-27

橋の下は野宿の基本。

と言う事で。
昨晩は橋の下で。



ただ昨日は風が強くてテントごと舞い上がりそうだった。
ペグは面倒臭がらずにきちんと打とう。

今日は走った。
たくさん走った。
山を越え谷を越え。

ハットリくんみたいだ。



紀伊半島。
ここは容赦ないアップダウン地獄だ。
坂を下り、その先の登り坂を見る度に。
またかいっ!
と、ひとり突っ込む。



とは言え。
この先の三重に比べたらまだまだかわいいもの。
予行練習だ。
和歌山は突っ込む余裕がまだある。

ところで。
ここ数日。
風が強い。
北よりの風。
カラッと過ごしやすいが。
この風向きから行くとしばらく波乗りは難しいだろう。

伊勢をひたすら目指す。
長い長い道のり。
でも一歩づつ。
一歩づつでも進めばよい。
進みさえすればいつか着く。



街を走っていると。
色んな事がある。

登校途中の小学生。
『あっ!なにあれ~!!かちょいい~!!』と指をさされる。
そんな時は出来るだけ涼しげな顔で颯爽と走り抜ける。
例えそこが坂道でも…



道を走行中。
抜き去る車が二度見三度見。
頼む。
頼むから前の車に突っ込まないで。
と、こちらがヒヤヒヤ。

信号待ち。
うぃーん。
と窓が下がる。
はいっ♪
と、
突然ペットボトルの差し入れ。

びっくり。
びっくりしすぎて鳩が豆鉄砲を喰らった状態。
多分、相当間抜けな顔をしているはず…

いやっ…元からだ…

街中で。
おじぃのチャリとデッドヒート。



抜きつ抜かれつ。
おじぃよ。
肩越しからその差を確認してニタっとしないで…。

畑道。
農作業中のおばあちゃん。
ふぅ。
と、体を起こした時に目が合う。

フリーズ。

そんな時は『こんにちは!』と再起動を促す。
すると。
ニコッと笑ってくれる。

歩道がないので仕方なく車道を走る。
あっ!歩道発見♪
と歩道を入る。
が。
徐々に狭くなり。
そしてすっぽり♪





泣けてくる…。
と、まぁ楽しい毎日だ♪

子供の頃は毎日が冒険だった。
いつもは通らない道で下校する。
それだけで
ドキドキ♪
ワクワク♪

山に秘密基地を作る。
そこに自分達だけの自由を手に入れる。
川でたき火。
ライターを持っているだけで大人の気分。
たき火を囲い夢を語る。

原付バイクでギターを持って海へ行く。
朝日を浴びて光る海。
覚えたてのコードで大合唱。
なんのしがらみもない。

毎日が新鮮だった。

大人になるにつれ。
毎日の新鮮さが失われて行く。
在り来りの毎日。

ため息と愚痴ばかりの日々。
旅をしていて出会う人は不思議な事にみんな若い。
年齢を聞いて驚く事もしょっちゅうだ。

好きな事をして生きている人は。
目が輝いてる。
子供みたいに。

自由に自分らしく。
心のままに。
素直に生きてみる。
そしたらきっと。

キラキラしてくる♪

と、そんな事を考えながら走った今日だった。





ではまた!

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