第百四十四話  “ ~サーフィンという言葉だけを信じて~ ” 10-02

Endless Trip


とは。
田谷さんと言う方が七年程前に出した本のタイトルだ。

半年間かけて。
愛車波乗り号に乗り込み。  日本一周サーフトリップにでた方の本のタイトルだ。

これも何かの巡り合わせなのか。
その田谷さんにお会い出来るチャンスが突如として巡って来た。
しかし。
そのチャンスにはリミットがあった。
前日。
迫り来る日没に。  ヒヤヒヤしながらも峠を越えたのはこれが理由だ。

10月2日 朝
野宿が一緒だったY君と別れ自分はある場所を目指す。

守源旅館さん。
そこに田谷さんがいるらしい。
しかも守源旅館さんは。  八丁浜のSoldier Blueさんで。
守山さんは八丁浜のローカルさんで。
……。
もう何だかよくわからない。

こんな時は。  どうせ思案を巡らす頭もないし。  あまりとやかく考えず。  体当たりで望むべし。
と言う訳で。
守源旅館さんを探す事に。

さてさて。
素晴らしい街並みだ。



函館のライダーハウス ウィロビーさんに行ってからだろう。
こういう日本的な家屋と町並みが大好きになった。



路地を曲がる度にシャッターをきってしまう。
そして。
迷いながらいくつかの路地を曲がった時。

おぉぉ!と。
再びポケットからカメラを取りだし。



カメラを構えた場所が守源旅館さんだった♪

ガラガラガラガラァ~♪  と、引き戸を開ける。
思わず。
『頼もぉ~!』と言いたくなってしまう気持ちをぐっと抑え。
『こんにちは!』と。
すると。
中から現れたのは一見怖そうな。
しかし。  笑うとめちゃめちゃ優しい顔の守山さんだった♪

『はじめまして~かくかくしかじか~やなっちです!』
電話中だった守山さんは、『上がって上がって!』とジェスチャーで。

今までに入った事のないような高級老舗旅館。



そして、ジェスチャーで案内していただいた旅館の中に。
突如として現れたサーフショップ Soldier Blue。



これには感動した。
最近、能登半島位からイメージしていた和と波乗りの空間がそこにあったからだ。

電話を終えた守山さんに改めて挨拶。
『まぁ逗留するつもりで2~3日体を休めていきな!』と。
お部屋まで用意して頂いてしまった。
そして、板場で料理修業中の田谷さんを紹介していただいた。

が、仕込みの真っ最中。  夜、ゆっくり話す時間をとって頂いた。

さて。
夜までまだまだ時間があるので。  ふらふらっと自転車にまたがり。  八丁浜へ行ってみた。



青い空。  白い砂浜。  クリアな海。
沖縄旅行のキャッチフレーズのような光景だった。

海の左奥で、数人のサーファーさんが波乗りを楽しんでおり。
駐車場に到着し、迷わず着替える。
サーファーさんに挨拶をしながら沖に向かう。
ひざ~たぁま~にもも。
それでもこのロケーションの中で波乗りが出来るなら最高だ♪

しばらくすると。  腰位のセットが入りだし♪
気付けばだいぶ長い時間波乗りを楽しませてもらっていた。

海からあがり。
チャリやハコブンダー達の元へ戻ると。
一人の女性の方が声をかけて下さった。

能登でお世話になったなにタコマンさんのお友達。

丹後ローカルのあんさん♪



差し入れをたくさん頂き。
その後しばらく海を見ながらお話しさせて頂いた。

海への思い。  ひしひしと感じた。
そして今。
自分が旅を出来ている事に改めて感謝した。
*あんさん差し入れ、そしてゆっくりとした時間をありがとうございました!
今度はなにタコマンさんと一緒に!

そして。
海上がりに声をかけて下さったAさん!



海の中でも波を譲って頂いたりと♪
Aさんは種子島へも良く行かれるようで。
South borderさんのマチさんと、シュウさんの話しが出て。
懐かしいし♪嬉しいし♪
何だかやっぱり。  日本中サーフィンを通じて繋がってると実感出来た。

*Aさんありがとうございました!種子島に行かれたらぜひよろしくお伝えください!

さて。
守源旅館さんに戻りお風呂を頂き。  うとうとし、少し寝てしまった。

夜。
『やなっち!ご飯出来たぞ!』と守山さん。

招かれたのは旅館の中にあるBarだった。





まさか旅館の中にBarまであるとは思わなかった。
さっきまでSoldier Blueの店長さんだったKさんがバーテンさんに早変わり♪

そして次から次へ運ばれて来る料理。





美味しい~♪

しばらくすると。
83さんご家族も来店。



守山さんの幼なじみのようだ。
大忙しだった旅館のお仕事が落ち着いたのは夜も遅くなった頃。
今日は2Fのお座敷でライブがあり。  たくさんの方が詰めかけていたからだ。

守山さんと83さんと田谷さんと。



お話し出来る機会が来た。

それぞれの日本一周。
田谷さんは。  旅に自分探しを求め。
自分は。  自分の可能性を信じて旅に出た。

形も旅のアプローチの仕方も。  全く違うが。  一つだけ同じもの。
サーフィンが好きだと言う事。

~師走のあわただしいある日、 旅館の帳場で事務仕事をしていたら、
突然勝手口にから茶髪の兄ちゃんが現れた。

~中略~

以前から私のところへは、そういうややこしい奴がたまに顔を出すので、
まあそのうちの一人だろうと思い、"サーフィンという言葉だけを信じて"
どこの馬の骨かわからない男の人生の一部を聞く事になったのである。~

これは。
守山さんが書いた田谷さんのEndless Tripのあとがきの一節だ。

この中の。
"サーフィンという言葉だけを信じて"

これがサーフィンの素晴らしさだと思う。
自身にたくさんのものを与えてくれるサーフィン。
サーフィンというものを通じて人と人を結び付ける。
すべての海が繋がっているのと同じように。
上手い下手は関係ない。
どれだけサーフィンが好きかどうか。
そこにサーファーとしての根本的な価値観がある。

自分のようなヘナチョコサーファーでも。
サーフィンが好きと言う気持ちはレジェンドサーファーさんにもプロサーファーさんにも、ローカルサーファーさんにも伝わるのだ。

それが。
サーフィンという言葉を信じられる理由だと思った。

今日はここまで♪

ではまた!