第四十二話 “ 自問自答 ” 06-08

昨夜は禁断の夜間走行をしてしまった。

静岡は自転車専用道があるから出来た事だ。
目的地は駿河湾フェリー乗り場。
あと数㌔と迫った時に車道から声をかけられた。
差し入れのおにぎりの温もり。
嬉しかった。

22時過ぎ目的地到着。
寝床を探し就寝。
蚊に悩まされる夜だった。

朝4時起床。
頂いたおにぎりを食べる。
とても美味しかった。
たまたま道端を走っていただけの人に声をかける。
そして温かいおにぎりを差し出してくれる優しさ。
いつも感謝しかできない。
ありがとうございました。美味しかったです!

さて。
空は曇っている。
今日は雨かな~?と頭によぎる。

出発。
この先にあるリバーマウスを見に行くためだ。
しばらく走る。   ここだ。
だが波はない。
この場所に来たのは、見てみたい!の他にもう一つ理由がある。
Bali High のKAMONさんが『もしそこに行ってローカルさんがいたら。昔、車がスタックした時に助けてもらった事を今でも感謝している』と伝えて欲しいと。
残念ながら今回は伝える事ができなかった。

でも。
まだわからない。
この先どんな出会いがあるかなんて。
この旅にはいつも驚かされてばかりだから。

さて。
なぜかわからないが。
リバーマウスポイントから。
駿河湾フェリー乗り場に戻る。
このフェリー当初は乗らないつもりだったが、気付いたら引き返しチケットを購入していた(笑)
理由はすぐにわかった。
フェリーに自転車を入れた時から船員さんたちがニコニコしている。
『どこから来たの!』で始まり質問攻めだ♪

しばらくすると。
Iさんが『後でデッキに遊びに来て下さい!出港して落ち着いたら呼びに行きますから♪』と。
でっデッキぃ~!
こんな大きなフェリーの操縦席に入れるなんてそうそうない!
そっか。
この出会いに導かれフェリー乗り場に戻って来たんだ♪

自分はフェリーが好きだ。
フェリーに自転車を積み乗船する。
あのドキドキ感。
知らない場所へ連れて行ってくれるワクワク感。
子供の気分になる。

出港してしばらくすると。
Iさんが客室まで迎えに来てくれた。
この人の笑顔は人懐っこい。
そして関係者以外立入禁止ゾーンを抜け。
操縦室へ。

慌ただしく無線でやり取りしている船員さんの姿。




レーダー等の機器類がところ狭しと並んでいる。
はしゃぐ。
すっごいはしゃぐ。



いい歳して(笑)

子供の頃の好奇心。
これを忘れてはいけない。
子供の頃って。
毎日が新鮮で。
色んな発見。
驚きの毎日だった。
子供の頃の夏休みが長~く感じたのは。
毎日が新鮮で充実していたからではないだろうか。

旅も同じだ。
新鮮・驚き・充実した毎日。

大人になっても遊んでいいのだ。
思いっきり。
そしたらいつまでも子供の頃の気持ちを忘れない。
こんな大人が出来上がる(笑)

Iさんも同じだった。
『僕はフェリーが大好きだから、毎日遊んでいる気分だよ♪』と。
それがあの人懐っこい笑顔な訳だ。

結局。
コーヒーをご馳走になり、1時間の航行時間の大半をここで過ごしてしまった。
楽しい時間だった。

こういう人は会社の宝だと思う。
自分の仕事が大好きで誇りを持っている人達。

自分は2年程前。
長く勤めていた会社を辞めた。
もちろん他にも理由はあったが、
仕事の愚痴ばかりを同僚と話し、会社や職場に自分の不甲斐なさを棚にあげ、自分が変わろうともせずに矛先を向けた。
同僚と愚痴を言い合う事で何も出来ない自分から目を背けていた。

悪いのは自分じゃないって。
それがとても虚しくて。
嫌だった。
このまま続けていてどうなる?
この先の未来は。

その時決意した。
自分の人生を自分らしく生きてみよう。
って。
そして今がある。



船長始め皆さん素敵な船旅を本当にありがとうございました!!
駿河湾フェリーが大好きに!
そしてこれからはエスパルスを応援します(笑)

清水から土肥まで移動。
ここから136号線で南下する。
伊豆の人達はやはり人懐っこい。
皆さんに声をかけて頂き、一気に松崎まで突き進む。

途中。
東北ナンバーの車が一台。
道端に泊まっている。
はて?  一人旅かな?
一人旅の楽しさも知っているが、寂しさも知っている。
思いきって声をかけてみた。

東北のつっちーだ。



やっぱりサーファーだった。
今こっちに板前の修業と波乗り目当てで住んでいるようだ。
狭い道端に車と自転車を停め大いに話した♪
とても気のいい人で、雰囲気も自分の知人に似ていた。
また会える気がする。

お別れし、さらに進む。
予想以上に険しい道のり。
三重・箱根クラスだ。
地元のおじさんが言う様に海沿いルートではなく、峠越えルートを選べばよかったかも…と久々の峠道にクタクタになっていた。
時速4㌔。
徒歩ペースで坂をよじ登る。
汗びっしょり。
足パンパン。

気合いだけで進んでいると。
坂の上に停車している車から人が飛び出して来て。
『頑張れぇ!』と思いっきり叫んでくれている。

坂をはい上がりおじさんの所まで到着。
『これ!』とドリンクを手渡された。
『君。Mさんのブログに出てた子でしょ?』と、突然Bali Highさんの名前が出て来た。
『普段この道走らないんだけどさっ!たまたま走ってたら君がいたんだよ(笑)』と、Iさん。

さらに
『Mさんは自分の事知らないかも知れないけど、いつだかの大会の一回戦でいきなり当たってしまって。結局一本も乗れずに1コケしちゃったんだよね(笑)なんかオーラが違ったよ♪』と。
Bali Highさんから頂いた伊良湖一番ステッカーをお渡しするとめちゃめちゃ喜んで下さった。



『また、もしかしたらUポイントで会えるかもね~!』と言ってお別れした。

またサーファーさんに巡り会えた♪
一時間走って5~6台しかすれ違わない峠道で。
Iさんから食料まで頂き再出発。

ここからだ。
ここからが今までで1番きつかった。

突然の雨。
迫り来る日没。
延々と続く峠道。

何度もくじけて立ち止まりそうになった。
でもその度に掛け声かけてはい上がった。
『なにくそ~!!』     『ちくしょ~!負けるかぁ!!』

自分の気持ちにだ。
いつもは嫌いなトンネル。
今日は救われた。
レインコートとを着込み考える。



ここらで野宿するか。
それとも。
目的地まで頑張るか。
答えは始めから出ていた。

走る。  と。

自分を確かめる為にちょっと聞いてみただけだ。
『よっしゃ!行くかぁ!』気合い十分走り出す。
雨もつられて気合い十分。
土砂降りで前さえ見えない。
でも不思議とくじけそうには成らなかった。

自分で決めた目標。
こんな時頼れるのは自分だけ。
弱音を吐いても仕方ない。
あ~だこ~だ理由をつけて立ち止まろうとするのは、会社を辞めた時の理由と一緒。
どうこう言ってもこの状況を打開するのは。

そう。
行動あるのみ。
そしてたどり着いた。
目的地。
諦めたり。
妥協するのは簡単だった。
でも。
自分が好きで選んだ道だ。
ここで逃げたら。

えっ?!
お前の気持ちってそんなもん?
って自分に言われてしまう。
頼れる人が自分しかいない時。
そんな時は自分を信じて。
限界なんてない。
そんなものは弱気な自分が勝手に決めたもの。
そんなものに負けてなるものかっ!

なんだか少し。
前より少し。

頼りになる自分がそこにいた。

ではまた!

~伊豆石廊崎周辺より~


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