第五十三話 “ 夢喰 ” 06-23

夢を見た。
不思議な不思議な夢だった。

古い小さなお堂から白い動物が出て来た。
最新は猫のように小さかった。
誰かはわからないが、数人の人が近くにいた中で。
その動物は真っ直ぐ自分に近づいてくる。

近づくにつれ。
その動物の体は大きくなり。
自分の胸目掛けて飛び込んで来た。
そして。
自分の体の中に入って行った。

びっくりして飛び起きた。
すごくリアルな夢だった。
胸に飛び込んで来た時に触れたその白い動物の毛並み。
胸に飛び込み、心の中に入っていく感触。

驚いて飛び起きたが怖くはなかった。
その白い生き物が自分の心の中に入ったんだ。
と。  単純に理解した。

そのまま朝まで良く眠った。

朝起きてすぐにこの夢の話しをJunさんと※さんにした。
すると。
『それはいいぞ~!』と。
『寝ていた場所には昔お寺のお堂が立っていたんだよ!』
と。  『えっ~!』と思わず驚いた。

今、そのお堂は昨日旅の安全を祈願して下さった妙厳寺さんに遷されているらしい。
ちなみに。
妙厳寺さんには。
南総里美八犬伝の里美一族のお墓が奉ってある。
何だか不思議だ。
すごくいい力をもらえた気がする。

さて。
朝食に※ちゃんさんが作って下さった有機自家栽培のお野菜と取れたてタマゴのハムエッグを頂く。

食べ終わると。  JUNさんが。
『よし!やるか!』と。
自分の自転車の整備を始めてくれた。
オイルと砂まみれになった自転車を見るに見かねたようだ。
…反省。
ここまでの長い道のり。
これから先のさらに長い長い道のり。
相棒も労ってあげなくてはバチがあたる。
二人で手を真っ黒にしながら汚れを落とした。

ピカピカになると。



自転車が生き生きしているように見えた。
チャリ君。  これからもよろしくね!
と、心で呟いた。

気付けばもうお昼近く。
荷物をまとめていると。
『スイカがあるよ~!』と。
さらにお昼ご飯にとおにぎりをと、※ちゃんさんが作って下さった。
Junさんからは。
『これがあれば必ず役に立つから!』と。
工具キッドを頂いた。



小雨が降る中の出発となった。
だが気持ちは晴々としている。

Junさん※さんの倶楽部 夢喰
夢喰(ばく)は悪い夢を食べてくれるという伝説の生き物だ。
ここでたくさんの話しを聞き優しくされ、不思議な体験をし、肩の荷が下りた気がする。
そう言えば【あわじゃ】のAさんにも『肩の力抜いて!』と言われていた。
緊張感は確かに必要だ。
だが、まずは自分が楽しまなくては。

途中、大雨と暴風にやられた。
少し足を止めて考えなさい!
って事だ。
だから雨宿りしながら考えた。
今日はゆっくり自分と向き合う日なんだ。
いつものような出会いの連続も起きない。
そういう日だ。

気付けば雨もあがり、青空が見えている。



無理したって気張ったって自分は自分だ。
自分が正しいと信じた道を行けばいい。
無駄を削ぎ落とし。
最後に残るもの。
鉛筆のように。
しっかりとした芯があれば。
今あるこの流れ。
この流れに身を委ねようと。
楽しいと感じる道を。
選べばいい。
と。  そう思う。
ぶれない真っ直ぐな思いを持ち。
自分に素直に真っ直ぐに。
あるがままに。

*Junさん※さん。
貴重な時間をありがとうございました!





昨晩見た蛍の舞が忘れられません。
チョコちゃんもゲンさんも!他のわんちゃん猫ちゃんも!
みんなありがとうございました!
自分はある程度期間が定められた旅ですが、その中で焦らず気負わず無理をせず。
許される限りの時間を使い目一杯楽しんで旅を続けさせていただきます!

では。